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初フィルム旅行(余呉湖・木之本編)


フィルム写真現像したやつの続きです。


日を置いて、今度は滋賀県の余呉湖に来ました。

ここも2月だと大変な積雪になる可能性もあったのですが、自分が行った日は残雪程度でした。

今年はあったかい。



湖畔をサイクリングしました。

向こうに見えてるのは福井との県境あたりかな。かっこいい雪山。


(この写真はスマホ)

余呉には路通の

「鳥共も寝入てゐるか余吾の海」

の句碑があります。

芭蕉さんと去来が「去来抄」で「此句、細みあり」と褒めていた句ですね。

余呉は水鳥が本当にたくさん居て、湖畔に広がる田畑の上を一斉に飛び立って、なんかもう否応なく郷愁を掻き立てる風景だったのですが、これだけ居た鳥が夜にはすっかり静まり返っていたら、それは…確かにとんでもなく寂しいだろうな……。


しかも鳥ども「も」ですからね。

これは「親しい友人知人も寝入っている頃だろうか」みたいな解釈がなされるらしいです。

深夜眠れずに起きていると世界に自分一人だけが起きているように感じてしまう、みたいな心象はわりとよく聞きますが、生涯漂白の孤独の詩人・路通がそれを言っていると思うと遣る瀬ない気持ちになりますね。

路通は貧乏や生活苦をコメディチックに自虐する句も多いんですが、その路通がふと、こういう心の深い部分を見せてくるんですよね……。


芭蕉さんもそういうギャップに撃ち抜かれたということはありませんか。ないか。



近くのカフェのホットサンド。

紅茶も美味しかったです。


この後、木之本と長浜にも寄りました。

木之本には江北図書館という、昭和初期から建っているレトロで暖かみのある建物の私設図書館があります。


定番の絵本や懐かしの児童書や現代の作家の文庫本なんかも揃えてある上に、美術館でしか見たことないような昔の美しい装丁の本を、展示品や資料としてでなく現役の「本」として手に取って読める場所というのが、貴重だな、いい場所だな……とちょっと本当に感動しました。

木造の階段を登ると響く足音、「ガタガタガララッ」みたいな音とともに開くガラスの引き戸、アーチ状の窓から差し込む光……。


湖北に行く機会があれば、おすすめです。


(これは大阪天満宮の梅)


一度はやってみたかった「フィルム写真を撮る」が達成できたのでよかったです。

どんな写真になっているか現像するまでわからない楽しみとワクワク感、何日か分の写真が一気に記憶とともに蘇る感覚、ツヤッとした質感とザラザラの粒感、90年代の残香を手に入れたようでうれしい。

楽しかったです。

あと1本フィルム買ってあるのでそのうちまた使いたい……。


おわりです。